
魚のDHAやEPAは朝に摂ると良い 「時間栄養学」が脂質代謝にも影響
2016年11月10日

魚油のDHAやEPAによる脂質代謝の改善効果は摂取時刻によって異なることを、産業技術総合研究所(産総研)が明らかにした。DHAやEPAを朝に摂取すると、血液と肝臓の中性脂肪の低減効果を得やすいという。
生体リズムを利用した時間栄養学の研究
睡眠や深部体温、血圧、糖代謝や脂質代謝など、ほとんどの生理機能には日内リズムがあり、「体内時計」によって制御されている。
「時間栄養学」は、「何をどのくらい食べるか」という従来の栄養学に、「いつ食べるか」という体内時計の視点を加えて、食事のリズムと機能性との関係について研究する新しい学術分野。
食の機能性を高めるための至適摂取時刻や、食を利用した睡眠や体内時計のコントロールなどに関する研究が注目されている。
産業技術総合研究所(産総研)は、体内時計に関する研究開発を行い、生体リズムを利用した時間栄養学の成果を実践することによる健康長寿社会の実現を目指している。
食を中心とした生活習慣による積極的な生体リズムの制御や、食品成分の機能性と至適摂取時刻との関係の基礎研究に取り組んでいる。
DHAとEPAの摂取時刻と機能性の関連を調査
DHA(ドコサヘキサエン酸)およびEPA(エイコサペンタエン酸)は、ニシン、サバ、イワシ、マグロ、カツオ、サンマ、ブリなどの魚油に多く含まれている。人間の体内ではほとんど作られないが、体の機能維持に必要な脂肪酸だ。
DHAやEPAには、心血管障害の抑制効果や抗アレルギー効果、脳機能向上効果、脂質代謝の改善効果などのさまざまな機能性があることが報告されている一方で、魚油の摂取時刻と機能性との関連性についてはよく分かっていない。
そこで産総研は、2013年よりマルハニチロと共同で、魚油に含まれるDHAとEPAの摂取時刻と機能性の関連性について研究を行っている。
体内時計は、睡眠覚醒や深部体温、血圧、免疫機能、脂質代謝などのさまざまな生理機能の日内リズムをコントロールしており、薬物の代謝や食物の消化・吸収にも日内リズムがみられる。
DHAやEPAは朝に摂ると良い 血液と肝臓の中性脂肪が低下

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