ワカメなどの海藻を食べると心疾患リスクが低下 日本食の新たなメリットを解明

 海藻をよく食べる人では、虚血性心疾患の発症リスクが低いことが、日本人8万6,000人を20年間追跡した調査で明らかになった。
海藻は低カロリーで、糖尿病や高血圧の改善効果がある
 海藻の摂取頻度が多い人では、虚血性心疾患の発症リスクが低いことが、国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート「JPHC研究」で明らかになった。研究成果は「American Journal of Clinical Nutrition」に発表された。

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 ワカメ、コンブ、ヒジキ、メカブなどの海藻は、食物繊維、カリウムなどのミネラル、タンパク質などが含まれ、日本を含む東アジアでよく食べられている。

 これまで動物を使った研究では、海藻の成分が血圧を低下させることや、血清脂質を改善させることなどが報告されている。海藻は低カロリーで、ダイエット効果や、糖尿病や高血圧、肥満などの予防や改善の効果があるとされるが、ヒトを対象にした研究では、海藻の摂取と脳卒中や虚血性心疾患との関連は明らかになっていない。

 そこで研究チームは、1990年と1993~94年に40~69歳だった男女8万6,113人(男性4万707人、女性4万5,406人)を約20年間追跡して調査した。対象となったのは、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎の9つの保健所。
海藻を毎日食べると、虚血性心疾患のリスクが大幅に低下
 食事アンケート調査により、海藻の摂取頻度から対象者を、「ほとんど食べない」「週に1~2日」「週に3~4日」「ほとんど毎日食べる」の4つのグループに分け、その後の脳卒中と虚血性心疾患の発症との関連を調べた。

 約20年間の追跡期間中に、4,777人が脳卒中を発症し、1,204人が虚血性心疾患を発症した。海藻を「ほとんど食べない」グループと比較して、海藻を「毎日食べる」グループの虚血性心疾患の発症リスクは、男性24%、女性44%低いことが明らかになった。

 一方、脳卒中(脳梗塞、脳出血およびクモ膜下出血)については、海藻の摂取との関連はみられなかった。

 海藻の摂取が虚血性心疾患発症リスクを低下させる理由として、海藻に含まれる食物繊維による血清脂質の改善や、タンパク質による血圧降下作用などが考えられるという。
日本食の健康効果が世界に広がる可能性
 海藻を食べる人は、食生活全体が健康的である可能性が考えられるが、これまでにJPHC研究で報告されている健康な食事パターンの食品要素である、野菜、果物、大豆製品、魚類、緑茶の影響を調整しても、結果は変わらなかった。海藻は健康な食事パターンと関係なく、虚血性心疾患のリスクを低下させることが明らかになった。

 今回の研究は、海藻の摂取が男女の虚血性心疾患の発症リスクの低下と関連することを示した、世界ではじめてのものだ。海藻の摂取と循環器疾患の関連を、年齢や海藻以外の食品の摂取頻度、生活習慣を調整して検討した。

 海藻は日本では馴染み深い食品だが、欧米ではあまり食べられていない。今後は食文化の多様性の広がりに合わせて、国内外で疾患予防に役立つ可能性がある。「海藻の健康全体に対する影響についての研究成果を蓄積していく必要がある」と、研究チームは述べている。

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Seaweed intake and risk of cardiovascular disease: the Japan Public Health Center-based Prospective (JPHC) Study(American Journal of Clinical Nutrition 2019年9月13日)
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