スローカロリーとフレイル/サルコペニアスローカロリー研究会第8回年次講演会を公開中!

2022年3月1日

 スローカロリー研究会は、2021年度(第8回)年次講演会(Web講演会)を公開致しました。 今回のテーマは「スローカロリーとフレイル/サルコペニア」。 適正な糖質や栄養を摂取しないことで起こり得る健康障害を提起することで、糖質を正しく理解し、糖質の質と摂り方を考慮した「スローカロリー」という健康食事法の普及をはかることが、 当研究会の役割であるといえます。 第8回年次講演会では、当研究会の3名の理事による講演を収録しています。

スローカロリー研究会第8回年次講演会(Web講演会)

■テーマ:スローカロリーとフレイル/サルコペニア
■公開期間:
2022年3月1日(火) ~
■公開場所:
第8回年次講演会
■主催:
一般社団法人 スローカロリー研究会
■後援:
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

プログラム

■講演1 「高齢者のフレイル/サルコペニアと栄養」 大内 尉義 先生 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 顧問、東京大学名誉教授

 老年医学のエキスパート大内 尉義先生によるフレイル/サルコペニアと栄養の関連についての解説。基礎から予防介入、最新のトピックの紹介までエッセンスが集約されている。講演は3つのパートからなる。

Part1 フレイル・サルコペニアの現状(収録時間21:05) フレイルの定義から話が始まる。フレイルの重要な点は可逆性があるということだ。だからこそ早期介入が重要とされる。早期介入効果のエビデンスはまだ限られてはいるが、サルコペニアや認知機能が改善するという明るいデータが得られ始めている。

Part2 フレイルを予防するには(収録時間11:23) 栄養と運動という二点について、明らかになっている知見が取り上げられる。フレイル予防のためにタンパク質摂取を増やすべきか、腎保護のためにタンパク質摂取量を制限すべきか。大内先生は、「栄養摂取の考え方は年齢により変わる」と指摘する。

Part3 スローカロリーとフレイル(収録時間8:17) 栄養や運動以外の重要なポイントを解説。さらに、肥満でありながら脂肪筋などのために筋肉量が低下している状態である「サルコペニア肥満」の重要性を指摘。講演の終盤ではスローカロリーとフレイルの関連の話題が取り上げられる。

■講演2 「現代人の栄養障害対策 ~スポートロジーを生活習慣病の予防や治療に活用しよう」 河盛 隆造 先生 順天堂大学名誉教授、同 大学院・スポートロジーセンター センター長

 スポートロジーは、アスリートのための医学ではなく対象は一般生活者で、スポーツをすることによる代謝・心血管疾患やメンタルヘルスへの影響を学問として捉えるというものだ。

Part1 スポーツを学問に! スポートロジーで健康長寿を(収録時間17:35) スポートロジー研究で明らかになった若年者のサルコペニアやフレイルの存在など、従来の医学的な定義を覆すようなデータが示される。

Part2 認知機能低下抑制における運動の重要性~文京ヘルススタディ
(収録時間11:34) 文京区在住の高齢者1,629人を対象に行われている「文京ヘルススタディ」からの知見が紹介される。これまでに運動習慣のある高齢者はその習慣のない高齢者に比べて認知機能が保たれていることやロコモの判定結果と認知機能が相関することなどが明らかになり、認知機能低下抑制における運動の重要性が示されたとのことだ。

Part3 「糖の流れを考えて、食後高血糖を正常化する」(収録時間19:59) 食後高血糖を正常化するための戦略が総括される。時間をかけて食事を楽しむ、最初にサラダを食べる、そして炭水化物は毎食しっかり適量を摂取するなど、食事の摂り方の意味と大切さが指摘される。

講演3「パラチノース摂取が高齢糖尿病患者の血糖に与える影響」 西村 一弘 先生 駒沢女子大学人間健康学部 健康栄養学科 教授

 糖尿病治療においては食事療法が基本である。しかし高齢者では、近年のゼロカロリーや糖質オフというような食品群が低血糖、そして低栄養、またフレイルのリスクになっている可能性もある。砂糖と同等のエネルギーを有する一方で、消化・吸収速度が遅いため食後血糖値の急激な上昇を抑える性質を有するスローカロリーシュガー(パラチノース)が、高齢の糖尿病患者の血糖コントロールに与える影響を検討した結果、砂糖使用時と比較してスローカロリーシュガーを摂取することで、食後の血糖値上昇を緩やかにするという可能性が示唆された(収録時間16:38)。

関連情報

"糖のながれ"を意識して、血糖値スパイクを防ぐ(第7回年次講演会)
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スローカロリー3分間ラーニング
スローカロリーガイドブック
スローカロリープロジェクト


(2023年04月 更新)
(2022年03月 公開)