スローカロリーシンポジウムの開催案内
ー運動および食事欠食・摂取に伴う血糖変動の生理的な変化を新たに観る―

2022年12月23日

 運動や食事に伴う血糖変動は条件によっては、運動中や運動後および食後の代謝に影響することが知られています。例えば、運動前の血糖濃度の高値はインスリンを介し、 脂質代謝を抑制させることで、運動中の基質代謝に影響を及ぼし、最終的に運動パフォーマンスに影響を与えることが報告されています。  また、高炭水化物食に伴う血糖濃度の著しい上昇は心血管疾患の罹患率と関わることが報告されています。しかしながら、運動や食事から観た血糖変動は代謝のみならず多くの 生理的な変化を伴うため、当該視点での探求は不可欠です。 今回、上記の視点について研究活動に取り組む4名の新進先鋭の若手の研究者4名によるシンポジウムを開催します。ご参加希望の方は事務局までご連絡ください。

スローカロリーシンポジウム

●テーマ:血糖変動に伴う生理的な変化を新たに観る: 運動および食事欠食・摂取
●開催日:
2023年1月28日(土) 10:00~16:00(開場 9:30)
●参加者対象:
食品・スポーツ栄養関連の企業関係者  大学・研究所などの研究者など
●参加募集:
30名 ※先着順
●会場:
日比谷国際ビル コンファレンススクエア8階  (東京都千代田区内幸町2丁目2-3、https://hibikoku.tokyo/)
●主催:
一般社団法人 スローカロリー研究会

プログラム

第1部

10:00- 開会挨拶  宮下 政司 先生(座長:早稲田大学 スポーツ科学学術院) 
10:05- 講演1 朝食欠食が日中の血管内皮機能に与える影響   鍛島 秀明 先生(県立広島大学 地域創生学部 准教授)

近年、朝食欠食の習慣が循環器疾患の発症リスクを高める独立した危険因子であることを、わが国ならびに諸外国の疫学研究グループが報告している。一方、朝食欠食と循環器疾患の直接的な関連を検討した研究は見当たらない。そこで我々は、1回の朝食欠食が動脈硬化初期のバイオマーカーである血管内皮機能に及ぼす影響について検討した。当シンポジウムでは、その研究成果と現在進行中の研究内容について講演する。
 
 10:35- 講演2 運動前の異なるグリセミック指数(GI)の食事摂取が代謝及び食欲に及ぼす影響  坂崎 未季 氏(早稲田大学 スポーツ科学研究科博士課程2年)
グリセミック指数(GI: Glycemic index)は糖質を含む食品の食後血糖上昇能を表し、低GIの食品摂取後の脂質酸化の亢進や食欲の抑制が報告されている。しかし、一般の健常者を対象として、運動前に摂取する食品のGIの違いが運動中の脂質・糖代謝や食欲に与える影響を検討した報告は少ない。当シンポジウムでは、GIの異なる食事摂取と運動の組み合わせが食後代謝や食欲に及ぼす影響に関する先行研究を紹介するとともに、我々が行った中年女性を対象とする研究によって得られた成果を報告する。

  11:05- 講演3 食後の血糖値上昇に伴う動脈スティフネスの増大対策  小林 亮太先生(帝京科学大学 生命環境学部 講師)
日常生活に欠かせない食事の中で高糖質食の過剰摂取は、血糖値を急上昇させる。食後の血糖値上昇は、動脈中膜の平滑筋緊張に伴い動脈壁の硬化度(スティフネス)が増大し、将来の心血管疾患リスクを高めることが考えられている。この点に関して、発表者の研究成果および他の研究グループの成果により、食後の血糖値上昇に伴う動脈スティフネスの増大を抑制する方法が明らかになってきた。本発表では、誰しもが毎日行う食事が及ぼす動脈スティフネスへの悪影響を解説するとともに、その対策について紹介する。

 11:35- 講演4 イソマルツロースを用いた糖質電解質飲料の水分摂取効果  天野 達郎先生(新潟大学 教育学部 保健体育・スポーツ科学講座 准教授)
イソマルツロースは吸収が緩やかな糖質として知られている。イソマルツロースの緩やかな吸収特性と並行して、水分の吸収も緩やかになる可能性が考えられる。研究会では、イソマルツロースを用いた糖質電解質飲料の安静時、暑熱下運動時、運動後における水分摂取効果について、私達の研究室で得られた最近の知見を紹介する。

 12:05- 総合討論

第2部(学生セッション)

  • 13:30- 開会挨拶
  • 13:35- 講演1 グリセロールおよびナトリウムに糖質を加えた飲料摂取が安静時および暑熱下運動時の体液・体温調節反応に及ぼす影響
  •     大塚 純都 氏(新潟大学 大学院現代社会文化研究科 博士後期課程1年)
  • 13:50- 講演2 朝食欠食が日中の精神ストレスに対する循環応答に及ぼす影響 
  •     瀬尾 菜月 氏(県立広島大学 人間文化学部 健康科学科 学士課程4年)
  • 14:05- 講演3 The acute effects of exercise intensity on butyrylcholinesterase and appetite-related hormones in young men     
        Yibin Li 氏(早稲田大学 スポーツ科学研究科 博士課程2年) 
    14:20- 講演4 水分摂取効果が高いイソマルチュロース飲料の提案に向けた研究~飲料の吸収速度と長時間低強度運動に着目して~   
        髙田 祥太 氏(新潟大学 大学院現代社会文化研究科 博士前期課程2年) 
    14:35- 講演5 若年健常男性における一過性の走運動が食品報酬に及ぼす影響  
        山田 善貴 氏(早稲田大学 スポーツ科学研究科 修士課程1年) 
    14:50- 自由討論
    15:50- 閉会挨拶

(2022年12月 更新)
(2022年12月 公開)