スローカロリー研究会設立にあたって

西村 一弘

一般社団法人 スローカロリー研究会
監事 西村 一弘
(駒沢女子大学人間健康学部健康栄養学科教授/東京都栄養士会会長)

 私がはじめてスローカロリーシュガー(パラチノース配合糖)と出会ったのは、15年近く前になり、当時は20世紀から21世紀に変わった直後であり、ミレニア糖と呼んでいました。その頃、明治乳業(株)が取組んでいた『血糖値が上がりにくいアイスクリーム』の開発に、「つぼみの会」小児1型糖尿病サマーキャンプの中で、協力をさせていただいたことがきっかけでした。そこでパラチノースの特性(二糖類分解酵素に対する親和性や分解能など)を知り、臨床の中で活用できる方法を模索しました。

 当然ですが、全ての糖尿病患者さんやメタボリックシンドロームの方に、パラチノースは有用と考えられました。特に成長期にある小児糖尿病患者にとっては、血糖値の上昇を緩やかにしながら、成長に必要なエネルギーを確保でき、インスリンも節約できるということは、とても有意義であると考え、つぼみの会でも推奨しています。

 近年、高齢糖尿病患者では、サルコペニアと認知症が大きな問題になっているので、この原因となる低栄養や低血糖を予防しながら、血糖値の急激な上昇を抑制できる糖類は、極めて有効であると考えられます。メタボリックシンドロームやサルコペニア予防の双方に貢献できる、スローカロリーの利点が国民に周知され、日本人の食習慣に定着されることに期待をしたいと思います。

(2015年08月 更新)
(2015年07月 公開)
スローカロリー3分間ラーニング