スローカロリーの食べ方が、
これからのアジアを救う可能性に期待!!

森 真理

一般社団法人 スローカロリー研究会
理事 森 真理
(武庫川女子大学国際健康開発研究所講師)

 私がスローカロリーの糖であるパラチノースに出会ったのは、今から10年程前。動物実験で砂糖を摂取するグループに比べ、パラチノースを摂取するグループの血糖値の上がり方が明らかに緩やかだったデータです。砂糖もパラチノースも構造はグルコースとフルクトースの二糖類であるにも関わらず、それらの結合の違いだけで糖の吸収のしかたに差がある事が深く印象に残っています。

 それから、私どもの研究所では、砂糖の消費が多いブラジル在住の日系人男性や、毎日菓子類を摂取している更年期の日本人女性、菓子類摂取の多い女子中高生などを対象に、パラチノースを利用したダブルブラインドの栄養介入研究を実施しました。ブラジル在住の日系人と更年期女性の研究では、明らかに砂糖に比べパラチノースのグループで、腹部内臓脂肪増加の抑制作用を認めました。中高生の研究ではスローカロリーの食べ方を4週間実践したグループで、血糖値が高めの子ども達で明らかにインスリン抵抗性が改善できたという興味深い結果を報告しています。

 いま、アジアでは糖尿病が問題となっています。私たちが調査で訪問しているインドやスリランカでは、経済発展と共に糖尿病の罹患率が急増しています。どちらの国も砂糖の消費が多く、甘い食べ物が大好物の人達が多いです。また、それらの国々で伝統的に食べられている日常食が、長く煮込んだカレーのようなドロドロとした食べ物ばかりです。長時間煮込むという調理法自体が、流動食に近い状態を作り出し、消化吸収には優しいかもしれませんが、決してスローカロリーでない事は明らかです。

 このような食べ方を好んでいる国の人達でも、パラチノースを料理やお菓子、飲料に利用することで、血糖値上昇を緩やかにするスローカロリーの食べ方を推奨する事が可能だと考えています。

 そうなるためにはまず、スローカロリーの食べ方が身体に優しい食べ方であることを、日本のみならずアジア地域の多くの方に知って頂く事が重要だと考えます。将来的には研究成果を元にした食育活動を実践することで、世の中の生活習慣病の罹患率低減に貢献できればと期待しています。

(2015年03月 更新)
(2015年03月 公開)
スローカロリー3分間ラーニング