~安井友梨さんをゲストにお招きし、スローカロリー研究会第10回年次講演会(Web講演会)が公開開始!~
2024年03月15日
スローカロリー研究会の2024年度年次講演会が、今年もWeb講演会として開催されました。10回目となる年次講演会のテーマは「筋トレとスローカロリー」です。今回は、昨年、世界フィットネス&ボディビル選手権で優勝し、2015~23年にかけてJBBFオールジャパンフィットネスビキニ選手権大会8連覇中の安井友梨さんをゲストにお迎えしました。当会理事の講演は、神奈川県立保健福祉大学 大学院保健福祉学研究科 研究科長で日本スポーツ栄養協会 理事長の鈴木志保子先生にお願いしました。
安井さんには世界制覇を実現したトップアスリートの食事の摂りかたを、鈴木先生には一般生活者がトレーニングを行う場合の注意点を語っていただきました。
スローカロリー研究会第10回年次講演会(Web講演会)
●テーマ:筋トレとスローカロリー
●公開開始:2024年3月11日
●公開場所:年次講演会公式サイト(下記よりアクセス)
おすすめの糖の摂りかたはゆっくりと!
安井 友梨さんビキニ・フィットネスアスリート
●FBB世界フィットネス選手権 優勝
●アーノルド・クラシック・ヨーロッパ優勝
●JBBFオールジャパンフィットネスビキニ選手権大会2015年〜8連覇中
●アジアビキニフィットネス選手権 優勝
安井友梨オフィシャルブログ
30歳になった頃にボディビルを始め、10年間で世界の頂点に上りつめた実績をバックボーンとして、安井さんはご自身の体重管理のエッセンスを、惜しげもなく公開されます。ボディビルダーの食事と聞くとタンパク質(プロテイン)が第一と思われがちですが、今は「糖質をいかに摂るかが最も重要」と言われているそうです。安井さんも今は1日に白米1kgを食べているとのこと。ただし、3食ではなく5食に分け、かつ、冷ましてからタンパク質食品とともに食べ、そうすることで食後の血糖上昇を抑えられて、体重も増えないそうです。
そんな安井さんもかつては糖質制限をした時期があり、その頃、体重はなんとか管理できても体温が下がって肌が荒れたり、情緒が不安定になり、結局長く続けられず「糖質の重要性に気付かされた」と話します。その後、ダイエットと両立可能な糖質の摂り方を見つけ出し、それができるようになった頃から世界で戦えるようになったとのこと。
白米でも品種によって血糖値への影響が異なることや、糖質食品でも麹を加えると血糖値が上がりにくくなることなど、ほかでは聞くことのできないダイエットの秘訣満載の講演です。(収録時間09:58)
続いて、国内パワーリフティング千葉県大会で優勝経験をもつ、DM三井製糖株式会社の久保宏樹氏の進行によりトークショーが行われました。
体重別階級のある競技の参加者は大会前に減量を行うことが多く、その際の食事の摂りかたが最初の話題。安井さんは、オフシーズンは白米を1日5回に分けて食べているそうですが、減量期に入ってもそんなに量は変わらないとのこと。もちろんそれにはさまざまな工夫があるようで、そのあたりのテクニックまで掘り下げられます。
次の話題は、一般の方へのアドバイス。一般の方がダイエットをするときも、糖質は1食に最低150g必要であり、それより少ないとからだの燃費(代謝)が落ちて、何を食べてもすぐに太ってしまうと安井さんは語ります。
そのほかにも、空腹感を我慢できない時にはどうするか、高甘味度甘味料とスローカロリー素材の違いは何かなどについて、安井さんの経験に基づいて語られました。筋トレやダイエットの実践者には気になるトピックばかり。ぜひ動画のご視聴ください。(収録時間12:42)
トークショーに続き、講演会に参加した栄養関連の専門家とのQ&Aが行われました。最初の質問は当会理事、河盛隆造先生(順天堂大学大学院スポートロジーセンター長)です。河盛先生は、安井さんは、ブドウ糖を全身の細胞が上手く使って強力な筋肉を作っている、安井さんの食生活は理にかなっていると驚きます。そして、1日どのくらいのエネルギーを消費しているのかと質問しています。
次に、当会理事の鈴木志保子先生(日本スポーツ栄養協会 理事長)は、糖質が重要という安井さんの話を聞いて、ボディビルも健康を考えたスポーツとして発展しているとコメントしました。
最後の質問は、安井さんがどうしても空腹を抑えきれないときに食べている豆腐について話題。全国から取り寄せているという安井さんのおすすめの豆腐を知りたい方は、ぜひご覧ください。(収録時間06:20)
一般の方が自宅やジムでトレーニングを行う際の栄養摂取
鈴木 志保子 先生
神奈川県立保健福祉大学 大学院保健福祉学研究科 研究科長
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 理事長
栄養指導で長い間、必ずといってよいほど使われ続けている「バランスよく食べましょう」というフレーズがあります。鈴木先生はまず、このフレーズを伝えるのみでは栄養指導が成立しない世の中になっていると訴えます。
例として、先生も編集に参画し、2023年度から全国の中学校で使われている食育教材を取り上げ、その教材では「バランスよく食べる」ことの前提として、「ヒトは化学反応の連続で生きている」と説明するといることを挙げます。生きるための体の化学反応をスムーズに行う方法論の一つが、バランスよく食べることなのだという教え方を、今ではしているのだそうです。
そして、中食などが主体となった現在の食環境では、昔ながらの「バランスよく食べましょう」では何も変わらないことに、管理栄養士も気づかなければならないと語ります。このことに関連し最近、日本栄養士会は「間食」をとることを前提とした栄養指導も是とする方向に舵を切ったそうです。
講演のテーマである一般の方のトレーニングを行う際の栄養摂取については、タンパク質を増やす必要のあるケースは実際には少なく、むしろ糖質をしっかりとった方がよいといったことが、わかりやすく解説されます。(収録時間34:14)
第7~9回年次講演会(Web講演会)は公開継続中!
これまでのスローカロリー研究会の年次講演会(Web講演会)の講演動画も公開中です。ぜひお立ち寄りください。
■スローカロリー研究会第9回年次講演会
■スローカロリー研究会第8回年次講演会
■スローカロリー研究会第7回年次講演会講演レポート
●"糖のながれ"を意識して、血糖値スパイクを防ぐ(河盛 隆造先生)
●運動とスローカロリー:血糖コントロールの重要性(宮下 政司先生)
(2024年3月 公開)