4. 今回の研究から「スローカロリー」を考える
---- 今回の研究を見て、「スローカロリー」(ゆっくり消化吸収する)という考え方を、どうお感じになりましたか?
難波: 糖質は、今回の研究のように摂取後の反応で一番シャープに差が出ますからね。スローダイエットというかスローライフというネーミングも聞きますが、同じカロリーでも穏やかに吸収することで、身体にやさしいというコンセプトは着想として間違っていないと思います。
---- 近年、血糖値の上昇を防ぐために、糖質の摂取量を減らす低糖質ダイエットといった考え方が注目されています。一方で、糖質の摂り方として、摂取する糖質の種類を変えてみるという考え方も有効でしょうか。
難波: はい、例えばGI(グリセミックスインデックス)という、食品ごとの血糖上昇に注目した考え方については、海外では山のように文献がありますね。低糖質食という考え方はともかく、スローカロリー食といった考えも1つの食生活の知恵として有用だと思います。
あと、食事の工夫でできることは、野菜を先に食べるというようにプロセスを変えたり、満腹感を変えるということくらいでしょうか。満腹感からすると、糖質をまったく摂らないとむしろ満腹感を得にくいのです。アミノ酸と脂肪だけでは得にくい。だから糖質をある程度摂るということは必要です。だからといってブドウ糖や砂糖のような吸収が早いものは、大量に摂ると身体を痛めつけますよということになります。
---- 健康を維持する食事の方法論は、たくさんありますよね。スローカロリー食でも、食品選びや食べる順番、よく噛むといったこともありますが、どのような食事がよいのでしょうか。
難波: 世にたくさんの料理本があり、身体にいいメニューのレシピもあります。でも、あんな風に毎日支度ができたらいいけどという話ですよね。皆さん、お仕事もっていますから。健康に向けた食生活は、やったほうがいいのは皆、わかっていると思うんです。
もくじ:糖尿病とスローカロリーを考える
- はじめに
- 1. パラチノースの特徴とは?
- 2. 血糖値とインスリン分泌量を比較
- 3. インクレチン(GLP-1とGIP)分泌量を比較
- 4. 今回の研究から「スローカロリー」を考える
- 5. まとめ
- 6. 研究の概要