エネルギー源としての糖質を考える
糖質の役割とは、カロリーの“量と質”

2-2.
小児・高齢者に適した機能性糖質

西村 一弘 先生 西村 一弘

東京都栄養士会会長
駒沢女子大学人間健康学部健康栄養学科教授

――糖質制限の考え方について、西村先生の見解に関してお話し下さい

西村 糖質は非常に大切なエネルギー源となりますので、極端な糖質制限食は避けたほうが良いですね。ただし、高度肥満や日常における糖質摂取が非常に多いケースによっては、糖質制限ではなく適量の糖質に戻す意味で摂取量を減らすことは必要であると思います。ダイエットを目的とした場合などでは、糖質を削減することで結果が出やすいこともありますので、短期間であれば推奨することもあります。

――機能性糖質を取り入れることについての意義は、どこにありますか?

西村 糖質が悪者にされている理由としては、急激な血糖上昇とそれに伴うインスリンの過剰分泌にあるかと思います。インスリンの過剰分泌は、糖尿病に限らず、メタボリックシンドロームなどの他の疾患にも影響を及ぼします。機能性糖質というと、低カロリーの甘味料を連想するかもしれませんが、スローカロリー甘味料のような糖質はしっかり糖質としてのエネルギーを持ちながら急激に血糖を上げず、インスリンを適量分泌させるため、今後より注目されるべき糖質だと考えます。

――西村先生がスローカロリー甘味料に出会う以前は、どのような甘味素材を使用されていたのでしょうか

西村 一般的なカロリーゼロの甘味料を使用していました。カロリーゼロの甘味料は、小児や高齢者などのエネルギー摂取が必要な患者さん以外では、有効な素材であると思っています。しかし、お砂糖の甘さを好む方は、カロリーゼロの甘味料の味を敬遠することもあります。また、料理に使用した際には、テリやツヤがでません。甘さを代替するものではあるものの、お砂糖の替わりにはならないと考える患者さんを多く見てきたことも事実です。特に高齢者の方は、和食で使い難いといった声を聞くことがあります。過去に結果として、みりんを多く使いすぎたためにカロリーゼロの甘味料を使用した意味がなかった方もいましたね。笑い話ではないですが、現実には、そのようなことがありますね。

――スローカロリーとの出会いはどのようなものだったのでしょうか

西村 最初に知ったのは、小児1型糖尿病のサマーキャンプでした。まさに、我々が求めていた考え方でした。過去、小児1型糖尿病の患者さんは、厳しい食生活を送ってきたために低身長をはじめとする成長障害の問題がありました。昔は、インスリンの種類も今と比べて充実していませんでしたので、食生活が厳しく制限されたなかで、摂食障害を繰り返しトラウマになる子供たちも一部でいました。我々の取り組みの一つとして、摂食障害と成長障害をなくそうということがサマーキャンプにおける目標でした。

――医療分野では使われてるのですか?

西村 スローカロリー甘味料は、血糖値を上げにくくするために経腸栄養剤に採用されていたり、腎臓病患者さん向けの糖質調整食品などにも昔から使用されています。

――スローカロリーの認知を広める方法は?

西村 健康に関連する食品素材の認知向上のためには、管理栄養士が中心となり、医療従事者からの発信が重要だと思います。ただし、テレビや雑誌などのメディアの力はやはり強いと感じます。メディアが発信する民間療法的な考え方や情報が広まり、患者さんからの質問が医療現場に多く寄せられることもあります。素材を良く調べてみると、中には信憑性に欠ける素材もあり回答に困ることもありますね。逆に良い素材であれば積極的にメディアに情報発信していただき、患者さんの関心が高いものを正しい情報でお伝えすることが効果的かと思います。管理栄養士としても推奨できる素材であれば、一時的なブームで市場から消えるということもないでしょう。

出典:食品化学新聞 2014年12月25日(第2565号)

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(2015年09月)
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